ある部品商様からジャガーのエアコンコンプレッサーを分解検査してほしいと依頼がありました。
70年代から80年代のXJ6やダブルシックスと呼ばれているダイムラーの12気筒モデルには
GMのA6型コンプレッサーが搭載されています。

いわゆるメーカーリビルト品のAC デルコ・コンプレッサーを英国車専門店に販売したところ、
不良品だと言われ返品されたので、原因追求をお願いしたいとのことでした。
このころのジャガーはR12のフロンガスを使用しているのですが、現車にはレトロフィットキットが装着されており、R134Aに変更されているようです。
デルコのコンプレッサーはオイルレスで供給されているので、使用しているフロンに応じて
コンプレッサーオイルを充填してから交換装着します・・・
分解診断に入る前に、車両データや、作業手順などを依頼主に確認していきます。
ロミオ : 交換理由は?
依頼主 : クラッチから異音だそうで・・・
ロミオ : う~ん、まずその時点で怪しい・・・本当にクラッチかなぁ?
ロミオ : エキパン、リキタン、プレッシャースイッチは販売しました?
依頼主 : いいえ、交換するように奨めましたが、注文にはなりませんでした・・・
ロミオ : フロンガス回収・リチャージ器は持ってますよね?
依頼主 : 持ってないようです。
※アメリカでは、フロンガス回収が法律で厳しく義務づけられているので、回収・リチャージ器を持っていない業者がエアコンの整備をすることはできません。
ロミオ : コンプレッサーオイルはどれくらい入れたって?
依頼主 : 約250cc入れたみたいです。
どこからオイルを入れたか?そして、「正しく」オイルを馴染ませたか?など質問は続きますが、
明らかに交換方法が間違っているので、分解整備をする以前に人為的破損の疑いが明確になってきました。
「いままで何台も同じ方法で交換してきたので、どう考えてもコンプレッサーがおかしい・・・」
その専門店様はそう主張し、他社でR12用オイルが充填されている新品コンプレッサーを購入し、交換したようです。
ロミオ : 「え?」じゃあ、R12用のオイルを抜いて、R134Aオイルを入れたんだ・・・「あ~あ」
依頼主 : やっぱ、それってやばいの?
ロミオ : 「そのお客様のジャガーは近い将来かわいそうなことになります・・・それ以上は言えません」
そして、いよいよ、返品されたコンプレッサーの中を開けてみました。
「あーあ」またがっかりです・・・ アメリカではやってはいけないことが行われています。

見えにくいのですが、鉄粉がでています。


【診断結果】
完全分解していないのですが、おそらくドライスタートで、焼きつく少し手前の状態です。
壊れているのではなく、壊されましたね。
これからはオイルレスのコンプレッサーを、知識や設備のないショップには販売しないほうが
無難だと思います。
依頼主にはそうお答えしました。
とても残念ですね・・・
これからだんだん暖かくなって、エアコンの整備、修理が増える季節になります。
コンプレッサーを交換して1年も経たないのにまた壊れたという方はいらっしゃいませんか?
壊れたのではなく、壊されていないことを祈ります・・・
不安な方はぜひ一度、ご来店ください。
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テーマ:ヨーロッパ車 - ジャンル:車・バイク
- 2009/03/14(土) 13:35:58|
- ジャガー
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